考察2 重力の底と時間  


時間はどこでも一定に流れているわけではないという


1960、ハーバード大学の物理学者が、ビルの屋上と一階で時間の進み具合にちがいがあるのかを確かめる実験を行った。その結果、重力の強い一階の時計のほうがわずかに遅れたのだ。

つまり、「重力が強い場所では時間が進むのが遅い」

こうあっさり書かれると、なんだか騙されているような気がしてくるかもしれないが、考えてみれば、この「時間」自体、原子時計などというもので測っているのだから、要するに、

    時間が進むのが遅い = 化学反応の速度が遅い

ということなのではないだろうか。そう考えるとなんとなく納得がいくような気がする。重力が強い場所では化学反応が進むのが遅くなるのだ。
生命現象は、元を正せばすべて化学反応である。例えば刺激の伝達は、カルシウムやアセチルコリンなどの化学反応が集まったものだし、筋収縮はミオシンと細いフィラメントが着脱を繰り返すことで生じる。つまり、化学反応が遅くなることによって、刺激伝達や筋収縮が遅くなるのだ。

だからといって、反応が鈍くなる、というわけではない。なぜなら、ほかの全ての生命現象も共に遅くなるのだから。したがって、自分自身で時間の進む速さの違いを感じることはできない。時間の変化の影響の及ばない外の世界とくらべてみて、初めてそれがわかるのだ。これは相対速度の考え方と似ている。今、2本の列車A,Bが平行に同じ速さで進んでいるとする。ある地点から、Aの列車がわずかに速度をゆるめたとしても、列車内を見ていただけではそれに気付かないだろう。窓からB列車をみて、初めて自分の列車が遅くなっていることに気付くのだ。

 


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